トコフェロールとは…成分効果と毒性を解説

抗老化成分 抗酸化成分 酸化防止剤
トコフェロール
[化粧品成分表示名称]
・トコフェロール

[医薬部外品表示名称]
・dl-α-トコフェロール、dl-β-トコフェロール、dl-γ-トコフェロール、dl-δ-トコフェロール、d-α-トコフェロール、d-β-トコフェロール、d-γ-トコフェロール、d-δ-トコフェロール、天然ビタミンE

[慣用名]
・ビタミンE

トコフェロールは、ビタミンEのことでやや粘性のある黄色~黄褐色の液体です。

水にはほとんど溶けず、アルコールやオイルによく溶ける性質をもっており、抗酸化作用と皮膚の血液循環作用に優れていることから、肌の酸化(肌荒れや乾燥肌)を防ぐエイジングケア化粧品の成分として配合されたり、肌の血色をよくしてくすみを改善する化粧品などに配合されることが増えていますが、その抗酸化作用から化粧品成分の酸化防止剤としても配合されます。

一応関連知識として伝えておきますが、ビタミンEには天然と合成がありますが、天然だけでも4つのランクにわかれており、それぞれ、

  • アルファ・トコフェロール(100)
  • ベータ・トコフェロール(10~50)
  • ガンマ・トコフェロール(10)
  • デルタ・トコフェロール(1)

という名称になっています(∗1)

∗1 ()内の数字は活性度で効果の強さと理解してもらってかまいません。

化粧品の場合、一般的に合成品が使われるのですが、以前は天然品であれば名前の前に「D」または「d」を、合成品であれば「DL」または「dl」をつけたのですが(∗2)、現在はまとめてトコフェロールの表記で統一されています。

∗2 例えば、天然のデルタビタミンEであれば、D-δ-トコフェロール、合成のアルファビタミンEであれば、dl-α-トコフェロールという成分名で記載されていました。

合成品といっても、活性効果は天然を100とした場合60~65くらいになり、合成で主に使われるのは、dl-α-トコフェロール、天然であれば、D-δ-トコフェロールです。

化粧品におけるトコフェロールの働きは、現在では抗酸化作用が注目されており、肌の活性酸素を除去する効果に優れています。

とくに不飽和脂肪酸の酸化を防ぎ、過酸化脂質が生成するのを防ぐので、皮脂や細胞間脂質(セラミド)や細胞膜など肌の水分を組成している部分の酸化防止に効果が期待できます。

また、酸化しやすい成分が配合されている化粧品自体の酸化防止剤として配合されることも多いです。

トコフェロールは同じ酸化防止効果を有するビタミンC(アスコルビン酸)と相性がよく、酸化防止という点で相乗効果が期待できたり、ユビキノン(コエンザイムQ10)があると、効果がなくなるまで働いたビタミンEを復元し、効果を持続させることもできます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

トコフェロールの配合製品数と配合量の調査(1998-1999年)

トコフェロールの配合製品数と配合量の比較調査

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トコフェロールの安全性(刺激性・アレルギー)について

トコフェロールの現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Tocopherol,Tocopheryl Acetate, Tocopheryl Linoleate, Tocopheryl Linoleate/Oleate, Tocopheryl Nicotinate, Tocopheryl Succinate, Dioleyl Tocopheryl Methylsilanol, Potassium Ascorbyl Tocopheryl Phosphate, and Tocophersolan」(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 55人の被検者の前腕の無傷の皮膚に1%トコフェロールを含むパラフィン0.05mLを24時間パッチ適用し、0~5のスケールでスコア2(明確な紅斑)を上回る陽性反応を有する被検者の数の割合を測定したところ、陽性率は55人中0であり、トコフェロールは主な皮膚刺激性ではなかった(CTFA,1972)
  • [ヒト試験] 2%dl-トコフェロールを含む小麦胚芽、12%ビタミンEを含む小麦胚芽、32%混合トコフェロールを含む小麦胚芽および植物油の3つの化粧品配合物0.05mLをそれぞれ6人の被検者の背中に閉塞パッチ下で21日間適用し、各パッチは24時間ごとに貼り替え、貼り替えの間に毎日採点を行ったところ、2%、12%、32%のトコフェロールを含む製剤の平均累積刺激スコアは最大刺激スコア84のうちそれぞれ3.9、7.0、0.0であった
  • [ヒト試験] 5%トコフェロールを含むクリームの一次累積刺激性および感作性を測定するために113人の被検者(男性35人、女性78人)の上背部に試験物質0.2mLの半閉塞パッチを24時間、週3回合計10回適用した。2週間の無処置期間を経て同じ部位にと未処置部位である前腕にチャレンジパッチを適用し、パッチ除去24および48時間で評価したところ、5%トコフェロールを含むクリームは刺激剤または感作剤ではなかった(Consumer Product Testing Co.,1997)
  • [ヒト試験] 1985年7月1日から1989年6月30日の間に北米接触皮膚炎グループ(NACDG)は5%dl-α-トコフェロールを含むワセリンを4,887人の患者にパッチテストしたところ、12人の患者(0.2%)はアレルギー反応を起こし、2人の患者(0.04%)は皮膚刺激を示し、別の2人の患者(0.04%)はトコフェロールに疑わしい反応を示したと回答した(CNACDG,1999)
  • [ヒト試験] 湿疹性皮膚炎を有する116人の患者にdl-α-トコフェロールをパッチテストしたところ、1人の患者に陽性反応が観察された(Roed-Petersen and Hjorth,1976)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと結論づけられているため、皮膚刺激性や皮膚感作(アレルギー)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Tocopherol,Tocopheryl Acetate, Tocopheryl Linoleate, Tocopheryl Linoleate/Oleate, Tocopheryl Nicotinate, Tocopheryl Succinate, Dioleyl Tocopheryl Methylsilanol, Potassium Ascorbyl Tocopheryl Phosphate, and Tocophersolan」(文献1:2002)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢にトコフェロール0.1mLを無希釈で点眼し、眼をすすいだあとDraize法に基づいて点眼1および4時間後および1,2,3,6および7日後に評価したところ、最大眼刺激スコア110のうち1時間後に6.0で最大スコアが示された。トコフェロールは最小限の眼刺激剤であった(CTFA,1972)
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼の結膜嚢にdl-α-トコフェロール0.1mLを注入し、注入2分後に3匹の眼をすすぎ、残りの眼はすすがず、注入後1,2および7日目に評価したところ、7日間ですすぎおよびすすいでいない眼の両方で非常に僅かな結膜の発赤およびケモーシスが観察された。すすがなかった6匹のうち2匹のウサギで注入2日後に明確な結膜の赤みを示した。トコフェロールは非常に経度の眼刺激を起こすと述べられた(Roche,1999)
  • [動物試験] 3匹のウサギの左眼の結膜嚢に0.1%トコフェロール、1~5%アルニカモンタナ抽出物、~50%大豆油の混合物0.5mLを点眼し、1,2,8,24および48時間後および4,5,6および7日後に評価したところ、結膜の発赤は24時間観察され、3匹すべてに2時間後にわずかなケモーシスが観察された。この混合物は眼の周りに塗布しても安全であると結論付けた(IBR,1972)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、最小限の眼刺激性ありという結論が多いため、最小限の眼刺激性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
トコフェロール 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、トコフェロールは毒性なし(∗4)となっており、毒性を心配する必要はありません。

∗4 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

トコフェロールは抗老化成分、抗酸化成分、安定化成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗シワ(抗老化)成分 抗酸化成分 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2002)「Final Report on the Safety Assessment of Tocopherol,Tocopheryl Acetate, Tocopheryl Linoleate, Tocopheryl Linoleate/Oleate, Tocopheryl Nicotinate, Tocopheryl Succinate, Dioleyl Tocopheryl Methylsilanol, Potassium Ascorbyl Tocopheryl Phosphate, and Tocophersolan」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810290169819> 2017年11月26日アクセス.

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