トコトリエノールとは…成分効果と毒性を解説

抗老化成分 抗酸化成分 安定化成分
トコトリエノール
[化粧品成分表示名称]
・トコトリエノール

[慣用名]
・スーパービタミンE

米ぬか、大麦、小麦胚芽、パームヤシから得られるオイルより抽出して得られるビタミンEの同族体で、ビタミンEとしてはトコフェロールがよく知られていますが、クロマン骨格側鎖に二重結合をもたないものがトコフェロールで、もつのがトコトリエノールです。

また、トコトリエノールもトコフェロール同様にクロマン環のメチル基の数と位置の違いにより、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の異性体が存在し、トコトリエノールは通常このうちの複数の混合成分です。

トコトリエノールは生活習慣予防機能として、コレステロール低下作用、アテローム性動脈硬化改善作用、抗癌作用、生体内抗酸化作用、運動疲労回復などが認められており、医薬品または健康食品の分野で市場を拡大しつつあります。

とくにトコトリエノールの抗酸化作用は注目されており、脳細胞ミトコンドリアにおいてトコフェロールよりも強い抗酸化作用があることが明らかにされたり(文献2:1995)、α-トコトリエノールがラット肝ミクロソーム膜中の脂質過酸化反応に対しα-トコフェロールの40~60倍の抑制作用を有することが報告されています(文献3:1991)

また、カリフォルニア大学で行われた研究によると、トコトリエノールは紫外線によってもたらされる皮膚への有害な作用を抗酸化活性を介して防止し、皮膚の酸化を抑制することが報告されています(文献4:1997)

さらに、オリザ油化株式会社、日光ケミカルズ、コスモテクニカルセンターの共同試験の結果、0.025%トコトリエノールの添加により無添加と比較してヒト皮膚線維芽細胞は123%の細胞増殖が認められ、また検討したすべての濃度(0.00039~0.05%)のトコトリエノールでヒアルロン酸の産生の促進を確認したため、トコトリエノールは非常に低濃度でも高いヒアルロン酸産生作用を有することが明らかになっています(文献5:2004)

こういった知見や報告から、化粧品に配合される場合は、皮膚の老化抑制や紫外線による光老化抑制目的のエイジングケア化粧品、活性酸素除去による美白目的の美白化粧品、これらの機能を付加する目的でメイクアップ化粧品にも配合されることがあります。

また、天然オイル成分の安定化目的で配合されることもあります。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

トコトリエノールの配合製品数と配合量の調査(2013年)

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トコトリエノールの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

トコトリエノールの現時点での安全性は、5%未満の濃度において、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、アレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Tocopherols and Tocotrienols as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者の背中に0%,1%,2.5%,5%,7.5%,10%および20%トコトリエノールを含むワセリンを48時間Finn Chamber適用し、ICDRG(国際接触皮膚炎研究グループ)の方法に準じて適用48および96時間後に評価したところ、48または96時間で1%,2.5%または5%濃度で刺激反応は観察されなかった。しかし、7.5%濃度で疑わしい紅斑が観察され、20%濃度では明瞭な紅斑まで濃度が高くなるほど反応の程度も高くなった。これらの結果から5%未満の濃度ではヒト反復傷害パッチ試験において刺激物質または感作物質ではなかったが、高濃度で刺激反応が観察された
  • [ヒト試験] 25人の被検者に2.5%および5%トコトリエノールを含むワセリンを誘導期間において24時間閉塞パッチを適用し、各パッチ除去30分後に試験部位を評価し、再パッチを適用する手順を21日間繰り返し、2週間の無処置期間を設けた後に未処置部位に48時間チャレンジパッチを適用した。パッチ除去48および96時間後に部位を評価したところ、2.5%および5%の両方で無添加溶液よりも低い累積刺激スコアを有した。チャレンジパッチ後に2人の被検者が48時間の評価で一時的な反応を示したが、96時間後には反応は観察されなかった

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して5%未満の濃度において皮膚刺激および皮膚感作なしと結論づけられているため、5%未満の濃度において皮膚刺激性や皮膚感作(アレルギー)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全データがみあたらないため、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
トコトリエノール 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、トコトリエノールは毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題ないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

トコトリエノールは抗老化成分、抗酸化成分、安定化成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗シワ(抗老化)成分 抗酸化成分 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Safety Assessment of Tocopherols and Tocotrienols as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR667.pdf> 2018年3月16日アクセス.
  2. Kamat J.P. et al.(1995)「Tocotrienols from palm oil as potent inhibitors of lipid peroxidation and protein oxidation in rat brain mitochondria.」, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/8584204> 2018年3月16日アクセス.
  3. Serbinova E. et al.(1991)「Free radical recycling and intramembrane mobility in the antioxidant properties of alpha-tocopherol and alpha-tocotrienol.」, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/1649783> 2018年3月16日アクセス.
  4. Weber C. et al.(1997)「Efficacy of topically applied tocopherols and tocotrienols in protection of murine skin from oxidative damage induced by UV-irradiation.」, <https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/9119243> 2018年3月16日アクセス.
  5. 白崎 友美(2004)「米由来トコトリエノールの新たな機能と化粧品への応用」Fragrance Journal(32)(2),p74-78.

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