ダイズ種子エキスとは…成分効果と毒性を解説

保湿 美白 抗老化 皮脂抑制 抑毛
ダイズ種子エキス
[化粧品成分表示名称]
・ダイズ種子エキス

[医薬部外品表示名称]
・ダイズエキス

マメ科植物ダイズ(学名:Glycine max 英名:Soybean)の種子からまたは特殊な方法で抽出して得られる抽出物植物エキスです。

ダイズ種子エキスのダイズは、ダイズ(学名:Glycine max)とツルマメ(学名:Glycine soja)のいずれかで表示されますが、ツルマメは植物分類学、細胞遺伝学、考古学など様々な観点からダイズの原種であると考えられており(文献2:2016)、類似した関係および共通の構成要素をもつことから、ここではダイズ(学名:Glycine max)に統一して解説します。

ダイズ(大豆)は、原種であるツルマメからダイズへの栽培化が紀元前1100年頃に中国東北部で起こり、その後ダイズが周辺国に伝播したと推定されていることから中国原産といわれており(文献2:2016)、また日本においても弥生後期(約1800年前)の遺跡から大豆が出土しており、日常的に納豆、豆腐、きな粉、味噌、醤油などとして大豆を摂取する大豆食文化が形成されています(文献3:2017;文献4:2011)

ダイズ種子エキスは天然成分であることから、地域、時期、抽出方法によって成分組成に差異があると推察されますが、その成分組成は主に、

分類 成分名称
アミノ酸 リシン など
フラボノイド イソフラボノイド ゲニスチン、ダイジン、グリシチン
テルペノイド トリテルペンサポニン ソヤサポニン

これらの成分で構成されていることが報告されており(文献3:2017;文献5:2011;文献6:2000;文献7:2004)、緩和なエストロゲン様効果が認められているイソフラボノイド(イソフラボン)の含有が特徴とされています。

エストロゲンとは、女性ホルモンの一種であり、子宮や乳腺などに作用し、皮膚においては真皮の線維芽細胞に働きかけ、コラーゲンやヒアルロン酸の合成を活性化することが認められています(文献8:1977;文献9:1981)

更年期にはいると、エストロゲンをはじめとする女性ホルモンの分泌量が低下し、骨密度が低下したり、皮膚においてはヒアルロン酸やコラーゲンの合成量が低下し、肌の弾力は失われ、潤いや張りがなくなっていきますが、日本人女性の更年期障害が欧米人と比較すると軽微であるのは、大豆食品によるイソフラボン摂取が更年期の急激なホルモンバランスの崩れを緩和しているためであると考えられています(文献10:1998)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディケア製品、メイクアップ化粧品、シャンプー製品、トリートメント製品、ヘアケア製品、頭皮ケア製品、シート&マスク製品、洗顔料、クレンジング製品、除毛製品など様々な製品に使用されています。

角質層水分量増加による保湿作用

角質層水分量増加による保湿作用に関しては、ダイズ種子エキスはリシンなどのアミノ酸を含むことから、角質水分量の増加傾向が認められています(文献10:1998)

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用

チロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン色素生合成のメカニズムについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

メラニン生合成のメカニズム図

皮膚が紫外線に曝露されると、細胞や組織内では様々な活性酸素が発生するとともに、様々なメラノサイト活性化因子(情報伝達物質)がケラチノサイトから分泌され、これらが直接またはメラノサイト側で発現するメラノサイト活性化因子受容体を介して、メラノサイトの増殖やメラノサイトでのメラニン生合成を促進させることが知られています(文献11:2002;文献12:2016;文献13:2019)

また、メラノサイト内でのメラニン生合成は、メラニンを貯蔵する細胞小器官であるメラノソームで行われ、生合成経路としてはアミノ酸の一種かつ出発物質であるチロシンに酸化酵素であるチロシナーゼが働きかけることでドーパに変換され、さらにドーパにも働きかけることでドーパキノンへと変換されます(文献11:2002;文献13:2019)

ドーパキノンは、システイン存在下の経路では黄色-赤色のフェオメラニン(pheomelanin)へ、それ以外はチロシナーゼ関連タンパク質2(tyrosinaserelated protein-2:TRP-2)やチロシナーゼ関連タンパク質1(tyrosinaserelated protein-1:TRP-1)の働きかけにより茶褐色-黒色のユウメラニン(eumelanin)へと変換(酸化・重合)されることが明らかにされています(文献11:2002;文献13:2019)

そして、毎日生成されるメラニン色素は、メラノソーム内で増えていき、一定量に達すると樹枝状に伸びているデンドライト(メラノサイトの突起)を通して、周辺の表皮細胞に送り込まれ、ターンオーバーとともに皮膚表面に押し上げられ、最終的には角片とともに垢となって落屑(排泄)されるというサイクルを繰り返します(文献11:2002)

正常な皮膚においてはメラニンの排泄と生成のバランスが保持される一方で、紫外線の曝露、加齢、ホルモンバランスの乱れ、皮膚の炎症などによりメラニン色素の生成と排泄の代謝サイクルが崩れると、その結果としてメラニン色素が過剰に表皮内に蓄積されてしまい、色素沈着が起こることが知られています(文献11:2002)

このような背景から、紫外線の曝露からメラニン排出までのプロセスにおけるいずれかのポイントでメラニンにアプローチすることが、色素沈着の抑制において重要であると考えられています。

1998年に一丸ファルコスによって報告されたダイズ種子エキスのメラニン生合成への影響検証によると、

培養B16メラノーマ細胞に最終濃度25ppm(0.0025%)ダイズ抽出物を添加し、陽性対照としてコウジ酸アルブチンアスコルビン酸を同一条件で添加し、3日間培養後にそれぞれのメラニン量を測定したところ、以下のグラフのように、

ダイズ抽出物のメラニン生成抑制効果

ダイズ抽出物は、アルブチンとほぼ同程度でアスコルビン酸やコウジ酸よりも強いメラニン生成抑制効果を示した。

このような試験結果が明らかにされており(文献10:1998)、ダイズ種子エキスにメラニン生成抑制作用が認められています。

次に、1985年に一丸ファルコスによって報告されたダイズイソフラボン化合物のメラニン生合成への影響検証によると、

L-チロシンにチロシナーゼを作用させ、各濃度のダイズイソフラボン化合物および陽性対照としてアスコルビン酸を添加したのちに培養し、各イソフラボン化合物のチロシナーゼ活性阻害率を測定したところ、以下の表のように、

試料 濃度(%) 阻害率(%)
精製水(ブランク) 0
ダイジン 0.01 24.2
0.05 73.5
0.10 81.7
ゲニスチン 0.001 11.2
0.01 24.3
0.05 63.7
アスコルビン酸 0.005 11.6
0.05 73.5
0.10 92.0

すでにチロシナーゼ活性阻害効果が広く知られているアスコルビン酸とほぼ同濃度でダイズイソフラボン化合物を用いた場合、ほぼ同等の活性阻害効果を示すことがわかった。

次に、4人の男性被検者の背部に蛍光ランプ(UVBおよびUVA)を照射し、人工的に黒化形成ステップである紅斑をつくり、その後に左側に0.05%イソフラボンを含む親水軟膏を1日2回(朝晩)40日にわたって塗布し、右側には無添加軟膏を用いることで、メラノサイトによって生成されるメラニン色素の表皮層への移行にともなう皮膚の色調変化を無照射部位の皮膚の色と、肉眼的観察によって対比し評価した。

その結果、いずれの被検者もイソフラボン化合物を含む軟膏塗布部位は、未添加軟膏塗布部位と比較して黒化の抑制傾向がみられた。

このような試験結果が明らかにされており(文献14:1985)、ダイズ種子エキスにチロシナーゼ活性阻害による色素沈着抑制作用が認められています。

ただし、ダイズ種子エキスのチロシナーゼ活性阻害効果は、ダイズ種子に含まれるイソフラボノイド(イソフラボン)の効果であることが報告されていることから(文献14:1985)、イソフラボノイドの含有量に依存すると考えられます。

コラーゲン合成促進による抗老化作用

コラーゲン合成促進による抗老化作用に関しては、まず前提知識として真皮の構造および真皮におけるコラーゲンの構造および役割について解説します。

真皮については以下の真皮構造図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

真皮の構造

表皮を下から支える真皮を構成する成分としては、細胞成分と線維性組織を形成する間質成分(細胞外マトリックス)に二分されますが、主成分である間質成分は大部分がコラーゲンからなる膠原線維とエラスチンからなる弾性繊維、およびこれらの間を埋める基質で占められており、細胞はその間に散在しています(文献15:2002;文献16:2018)

間質成分の大部分を占めるコラーゲンは、以下のコラーゲンの構造図をみてもらうとわかりやすいと思いますが、

コラーゲンの構造

コラーゲンの架橋構造

三重らせん構造からなる膠質状の太い繊維であり、その繊維内に水分を保持しながら繊維間を架橋することで皮膚の張りを支えています(文献15:2002)

一方で、一般的に加齢にともなってコラーゲンの合成量は低下するだけでなく、架橋度の高い難溶性コラーゲンが増加することが知られており(文献10:1998)、加齢にともなうコラーゲンへの影響は老化につながると考えられています。

このような背景から、加齢により低下したコラーゲンの合成を増加することは、皮膚老化の抑制において重要であると考えられます。

1998年に一丸ファルコスによって報告された真皮コラーゲンに対するダイズ種子エキスの影響検証によると、

1群5匹のラット背部に2%ダイズ抽出物を含む基剤(親水軟膏10%,PG45%,蒸留水45%)を、陽性対照として1%女性ホルモン(β-エストラジオール:ジエチルスチルベストロール = 1:1)を週5回3週間にわたって塗布した。

最終塗布から48時間後に皮膚片のコラーゲンを架橋度によって低架橋度、中架橋度および強架橋度に分別し、全コラーゲン(低架橋度+中架橋度+強架橋度)量に対する低架橋度コラーゲンの割合を定量したところ、以下のグラフのように、

皮膚コラーゲン組成に対するダイズ抽出物の効果

ダイズ抽出物および女性ホルモンともにラット皮膚に塗布することによって皮膚中の低架橋コラーゲン比率が増加する傾向が示された。

ダイズ抽出物は、低架橋コラーゲン量を増やし、皮膚中コラーゲンの代謝活性を向上させ、皮膚の老化を抑制する作用が期待できると考えられた。

このような試験結果が明らかにされており(文献10:1998)、ダイズ種子エキスにコラーゲン合成促進による抗老化作用が認められています。

ただし、ダイズ種子エキスのコラーゲン合成促進効果は、ダイズ種子に含まれるイソフラボノイド(イソフラボン)の効果であることが報告されていることから(文献10:1998)、イソフラボノイドの含有量に依存すると考えられます。

皮脂腺抑制による皮脂抑制作用

皮脂腺抑制による皮脂抑制作用に関しては、まず前提知識として皮脂の構造と役割について解説します。

以下の皮膚の最外層である角質層の構造図および皮脂の流れ図をみてもらえるとわかりやすいと思いますが、

角質層の構造

皮脂の流れ

皮脂とは、狭義には皮脂腺で合成された脂質が毛包を通って皮膚表面に分泌される脂肪のことをいい、主にスクアレン、ワックス(ロウ)、脂肪酸系物質(トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、遊離脂肪酸)(∗1)で構成されています(文献17:2002;文献18:2002)

∗1 遊離脂肪酸は、オレイン酸ステアリン酸パルミチン酸などです。

また、表皮細胞(角化細胞)は分化の過程においてコレステロール、コレステロールエステルなどの表皮脂質を産生し、この表皮脂質と皮脂腺由来の皮脂が皮膚表面で混ざったものを皮表脂質といいます(文献17:2002;文献18:2002)

このような背景から皮表脂質の組成は、ヒトによって含有量が異なり、また同じヒトであっても日によって変動がありますが、

由来 成分 含量(%) 含量範囲(%)
表皮細胞
(角化細胞)
コレステリルエステル 2.5 1.5 – 2.6
コレステロール 1.5 1.2 – 2.3
皮脂腺 スクアレン 10 10.1 – 13.9
ワックス 22 22.6 – 29.5
トリグリセリド 25 19.5 – 49.4
モノグリセリド、ジグリセリド 10 2.3 – 4.3
(ジグリセリドのみ)
遊離脂肪酸 25 7.9 – 39.0

このように報告されており(文献19:1990;文献20:1969)、皮脂腺由来の脂肪が約90%を占めることから、広義には皮表脂質も皮脂と呼ばれています。

皮表脂質は、皮膚表面で汗と混合(乳化)して薄い脂肪の膜をつくり、皮表脂質膜(皮脂膜)を形成することで、

  • 皮膚や毛髪にうるおいやなめらかさを付与する
  • 外界の刺激から皮膚を保護
  • 弱酸性を示し外部の影響などによってアルカリ性となった皮膚を元のpH値に戻す緩衝作用
  • 有害な細菌の増殖を抑制

このような生理的役割を担っています(文献21:1988)

しかし、皮脂の分泌が過剰な場合は、脂性肌という主観的な認識に結びつき、肌のテカリやベタつきといった皮脂由来の直接的な肌の悩みだけでなく、皮膚表面の洗浄作用が低下し、ほこりや雑菌が付着、繁殖しやすくなり、脂漏性湿疹、ざ瘡(ニキビ)発症の原因となります(文献17:2002;文献22:1986)

さらに、過剰な皮脂は毛包周辺の角層細胞とともに角栓を形成し、毛穴の開大を招いたり、皮膚表面上の皮脂が紫外線により酸化し、この過酸化脂質が角層細胞にダメージを与え、バリア機能を低下させるなどの悪影響をもたらすことが知られています。

このような背景から、過剰な皮脂を抑制することは、皮膚を健常に保つ上で重要であると考えられます。

2001年に一丸ファルコスによって報告されたダイズ種子エキスの皮脂腺抑制効果検証によると、

3匹のハムスターの耳介にダイズエキス(大豆イソフラボンとして0.02%含む)0.1mLを2週間連続適用し、耳介の大きさ(面積)を未処理群と比較したところ、以下のグラフのように、

ダイズエキスの皮脂腺抑制効果

ダイズエキス塗布群は、未処理群と比較して明らかな皮脂腺抑制効果が認められた。

このような試験結果が明らかにされており(文献23:2001)、ダイズ種子エキスに皮脂腺抑制による皮脂抑制作用が認められています。

ただし、ダイズ種子エキスの皮脂腺抑制効果は、ダイズ種子に含まれるイソフラボノイド(イソフラボン)の効果であることが報告されていることから(文献23:2001)、イソフラボノイドの含有量に依存すると考えられます。

成長阻害による抑毛作用

成長阻害による抑毛作用に関しては、まず前提知識として抑毛の定義および体毛(脇・腕・足)の毛周期について解説します。

体毛処理は、脱毛、剃毛、除毛、抑毛の4つに分類されますが、以下の表のように、

体毛処理 定義
脱毛 毛根部分からムダ毛を抜くことであり、一般に物理的な力を利用する。
剃毛 表面に露出しているムダ毛を物理的に剃ることであり、物理的な力を利用する。
除毛 表面に露出している毛を除くことであり、一般に化学的作用を利用する。
抑毛 ムダ毛の成長を抑制することであり、一般に化学的作用を利用する。

それぞれこのように定義されています。

毛には周期があり、体毛(脇・腕・足)の毛周期については以下の毛周期図を見てもらうとわかりやすいと思いますが、

体(脇・腕・足)の毛周期

成長期に入ると約3-4ヶ月の期間、毛幹(∗2)が伸び続け、その後に毛根が退縮していく退行期が訪れ、やがて毛が脱落する休止期となり、3-6ヶ月の休止期間の後に再度成長期に入って毛幹が伸びていくというサイクルを一生繰り返します(文献24:2009)

∗2 毛幹とは、毛の皮膚から外に露出している部分のことであり、一般に毛と認識されている部位です。

2001年に一丸ファルコスによって報告されたダイズ種子エキスの抑毛効果検証によると、

C3Hマウスは8週齢において背部毛が休止期となることが知られているため、同週齢のマウス背部毛を除毛し、ダイズエキス(0.2%大豆イソフラボンを含む)を1日1回25日まで毎日適用し、毎日の毛再生面積の測定を実施したところ、以下のグラフのように、

ダイズエキスの抑毛効果

ダイズエキス適用群は明らかに毛の再生が遅れることが観察された。

毛の再生は、毛周期の休止期から成長期への変化と考えられることから、ダイズエキスには休止期の延長作用があると考えられた。

次に、5人の健康な男性被検者のすね毛を除毛し、ダイズエキス(0.2%大豆イソフラボンを含む)を1日2回適用し、反対側は対照として溶媒のみを適用した。

その結果、試験開始から1週間目に2人の被検者の下肢毛(すね毛)に抑毛効果が認められた。

また、この抑毛効果は明らかに成長阻害によるものであるが、毛によってそれぞれ独立して作用しており、非常に強い成長阻害を示している毛もあれば、作用がほとんど認められない毛も観察された。

この違いは毛周期に起因している可能性が考えられた。

さらに、開始1週間目に効果の認められなかった3人の被検者に再び除毛した後、試験を継続したところ、試験開始2週間目にはさらに2人の被検者に抑毛効果が観察された。

残りの1人は2週間目においても明らかな効果は認められなかった。

これらの結果から、ダイズエキスは明らかに抑毛効果を有していると考えられた。

このような試験結果が明らかにされており(文献23:2001)、ダイズ種子エキスに成長阻害による抑毛作用が認められています。

ただし、ダイズ種子エキスの成長阻害による抑毛効果は、ダイズ種子に含まれるイソフラボノイド(イソフラボン)の効果であることが報告されていることから(文献23:2001)、イソフラボノイドの含有量に依存すると考えられます。

このような背景から、ダイズ種子エキスは抑毛目的で除毛系ボディケア製品に用いられています。

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2016-2020年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ダイズ種子エキスの配合製品数と配合量の調査結果(2016-2020年)

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ダイズ種子エキスの安全性(刺激性・アレルギー)について

ダイズ種子エキスの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

また、化粧品原料におけるダイズ種子エキスに含まれる大豆イソフラボンに関しても、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題ないと考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2020)によると、

  • [ヒト試験] 44人の被検者に0.198%ダイズ種子エキスを含むスキンケア製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチ下にて実施したところ、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Essex Testing Clinic I,2011)
  • [ヒト試験] 59人の被検者に3%ダイズ種子エキスを含むスキンケア製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチ下にて実施したところ、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Anonymous,2019)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

一丸ファルコスの安全性データ(文献25:2001)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたダイズ種子エキスの眼刺激性試験を実施したところ、この試験物質は陰性であった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激なしと報告されているため、一般に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

安全性についての補足

化粧品に用いられるダイズ種子エキスの安全性の考察においては、天然化粧品原料としての安全性のほかに女性ホルモン作用を有する物質としての安全性を考慮する必要がありますが、天然化粧品原料としてのイソフラボンの安全性は通常の植物エキスと比較しても特に変わりがなく、化粧品配合量において安全性に問題ないと考えられています(文献25:2001)

∗∗∗

ダイズ種子エキスは保湿成分、美白成分、抗老化成分、皮脂抑制成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:保湿成分 美白成分 抗老化成分 皮脂抑制成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2020)「Safety Assessment of Soy-Derived Ingredients as Used in Cosmetics」Final Report.
  2. 吉村 泰幸, 他(2016)「遺伝子組換えダイズの生物多様性影響評価に必要なツルマメの生物情報集」農業環境技術研究所報告(36),47-69.
  3. 杉田 浩一, 他(2017)「だいず」新版 日本食品大事典,451-454.
  4. 鈴木 洋(2011)「大豆(だいず)」カラー版健康食品・サプリメントの事典,102-104.
  5. 竹田 忠紘, 他(2011)「ダイズ」天然医薬資源学 第5版,124-125.
  6. 小島 弘之, 他(2000)「イソフラボンの化学」Fragrance Journal(28)(11),111-115.
  7. 有井 雅幸(2004)「抗老化原料としての大豆イソフラボンアグリコンの特性と機能」Fragrance Journal(32)(8),75-81.
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  10. 小島 弘之, 他(1998)「最近の植物抽出物―コーヒーとダイズ抽出液」Fragrance Journal(26)(12),75-80.
  11. 朝田 康夫(2002)「メラニンができるメカニズム」美容皮膚科学事典,170-175.
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  13. 田中 浩(2019)「美白製品とその作用」日本香粧品学会誌(43)(1),39-43.
  14. 一丸ファルコス株式会社(1985)「イソフラボン化合物含有美白化粧料」特公昭60-019885.
  15. 朝田 康夫(2002)「真皮のしくみと働き」美容皮膚科学事典,28-33.
  16. 清水宏(2018)「真皮」あたらしい皮膚科学 第3版,13-20.
  17. 朝田 康夫(2002)「皮脂腺の機能と構造」美容皮膚科学事典,38-45.
  18. 朝田 康夫(2002)「皮表脂質の組成とその由来」美容皮膚科学事典,45-48.
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