ゲットウ葉エキスとは…成分効果と毒性を解説

抗老化成分 抗シワ成分 エモリエント成分 美白成分
ゲットウ葉エキス
[化粧品成分表示名称]
・ゲットウ葉エキス

[医薬部外品表示名称]
・ゲットウ葉エキス

ショウガ科植物ゲットウ(学名:Alpinia speciosa)の葉からエタノールBG(1,3-ブチレングリコール)またはこれらの混合液で抽出して得られるエキスです。

ゲットウ葉エキスの成分組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

  • フラボノイド
  • 糖類
  • 精油:シネオール、ピネン、ボルネオール

などで構成されています(文献1:-;文献2:2011)

ゲットウ(月桃)は東南アジアを原産とし、熱帯から亜熱帯アジアにかけて、日本では沖縄から九州南部に分布しています。

沖縄では自生するものをサンニンと呼び、「神秘の命薬」ともいわれ大切にされており、沖縄の人々にとって旧暦の12月8日はゲットウの葉に餅を包んで蒸した餅菓子であるムーチー(鬼餅)を食べて厄を払い、健康を祈願する風習があります(文献3:2018)

ゲットウの葉から得られる精油は防虫、抗菌・抗真菌作用があり、さらにコラーゲン生成を促進する作用などの報告もあります(文献2:2011)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、アイケア化粧品、メイクアップ化粧品、ヘアケア製品、洗浄製品、洗顔料、シート&マスク製品など様々な製品に使用されます(文献1:-;文献5:2008;文献6:2010;文献7:2010)

線維芽細胞増殖促進、Ⅰ型コーラゲン産生促進およびMMP-1活性抑制による抗シワ作用

線維芽細胞増殖促進、Ⅰ型コーラゲン産生促進およびMMP-1活性抑制による抗シワ作用に関しては、まず前提知識として紫外線によってシワが生じるメカニズム、線維芽細胞の役割、Ⅰ型コラーゲンおよびMMP-1について解説します。

まずはシワが生じるメカニズムですが、以下の肌図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

皮膚における真皮の潤い成分

皮膚の真皮層は、白い紐状のタンパク質繊維であるコラーゲンが網の目状に細胞外マトリックスを形成し、コラーゲンとコラーゲンの間にからみあうようにエラスチンがコラーゲン同士をバネのように支えて皮膚の弾力性を保ち、コラーゲンの隙間をヒアルロン酸などが水分を十分に含んで保つことで、皮膚の保水およびハリ・弾力に深く関与しています(文献4:2002)

これらコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸は同じく真皮に点在する線維芽細胞からつくられるため、線維芽細胞の働きが活発でこれらが順調につくられていることが皮膚のハリ・弾力維持において重要です(文献4:2002)

しかし、紫外線を浴びるとコラーゲン分解酵素、エラスチン分解酵素、ヒアルロン酸分解酵素などが活性化し、必要以上にコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を分解し、真皮コラーゲン量やエラスチン量が減少することが明らかになっており、コラーゲン量およびエラスチン量が減少していくと、皮膚のハリ・弾力が次第に失われ、徐々にシワ・たるみが生じます。

コラーゲンについてさらに詳細にみていくと、以下のように、

真皮におけるコラーゲンの種類

  • Ⅰ型コラーゲン:真皮内に網目状に張りめぐらされている強硬なコラーゲン。肌の弾力やハリを保持
  • Ⅲ型コラーゲン:真皮の乳頭層に多く含まれる細くて柔らかいコラーゲン。肌に柔らかさを付与
  • Ⅳ型コラーゲン:基底膜の膜状構造を維持するための骨格の役割をするコラーゲン

というようにそれぞれ役割が異なっており、大部分は網の目を形成するⅠ型コラーゲンになります。

そして、コラーゲン分解酵素であるMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)の中で、MMP-1はⅠ型コラーゲン分解酵素であるⅠ型コラゲナーゼのことを指します。

ゲットウ葉エキスには線維芽細胞の増殖促進作用、Ⅰ型コラーゲン産生促進作用およびMMP-1活性抑制作用が明らかになっており、またヒト試験において乾燥による小ジワを目立たなくする効果も認められているため(文献1:-)、線維芽細胞の増殖促進作用、Ⅰ型コラーゲン産生促進作用およびMMP-1活性抑制作用による抗シワ作用(抗老化作用)が認められています。

ヒアルロン酸産生促進による抗老化作用

ヒアルロン酸産生促進による抗老化作用に関しては、まず前提知識としてヒアルロン酸について解説します。

すでに解説した線維芽細胞増殖促進、Ⅰ型コーラゲン産生促進およびMMP-1活性抑制による抗シワ作用と一部重複しますが、以下の真皮における構成成分図をみてもらえるとわかりやすいと思うのですが、

皮膚における真皮の潤い成分

皮膚の真皮層は、白い紐状のタンパク質繊維であるコラーゲンが網の目状に細胞外マトリックスを形成し、コラーゲンとコラーゲンの間にからみあうようにエラスチンがコラーゲン同士をバネのように支えて皮膚の弾力性を保ち、コラーゲンの隙間をヒアルロン酸などが水分を十分に含んで保つことで、皮膚の保水およびハリ・弾力に深く関与しています(文献4:2002)

ヒアルロン酸は、真皮の中で広く分布するゲル状の高分子多糖体として知られており、規則的に配列したコラーゲンとエラスチンの繊維間を充たし、水分を大量に保持することで、皮膚に弾力性と柔軟性を与えています(文献9:2002)

そのため、加齢、外的刺激(紫外線、大気汚染)、内的刺激(ストレス、病気)などでヒアルロン酸の質的・量的減少が起こると、皮膚の乾燥、バリア機能の低下による炎症や肌荒れ、皮膚老化を引き起こします。

2003年に丸善製薬によって技術公開されたゴレンシ葉エキスのヒアルロン酸産生促進作用検証によると、

皮膚の老化または病的状態により細胞機能が低下してくると、生体ヒアルロン酸量は減少し、その結果として皮膚の乾燥、肌荒れ、ハリ・弾力の減少、シミおよびシワの増加などを引き起こす。

このような状態を改善すべく、皮膚にヒアルロン酸や天然保湿因子などの生体成分を配合した化粧品を塗布する方法があるが、ヒアルロン酸を外から与えても根本的な機能改善にはならず、とくにヒアルロン酸は皮膚からはほとんど吸収されないという問題がある。

このため、ヒアルロン酸そのものを外から補給するのではなく、生体の自己回復力を利用し、ヒト皮膚線維芽細胞のヒアルロン酸産生能を促進させることによってヒアルロン酸量を増やすことができないか検討した。

そこで数多くの植物抽出物について、正常ヒト線維芽細胞に対するヒアルロン酸産生促進効果を評価しスクリーニングしたところ、ゴレンシ葉抽出物およびゲットウ抽出物にヒアルロン酸産生促進効果が認められた。

試験内容は非公開ですが、このような検証結果が明らかにされており(文献8:2003)、ゲットウ葉エキスにヒアルロン酸産生促進による抗老化作用が認められています。

また、ゴレンシ葉エキスと併用することで相乗効果があると考えられます。

カルボニル化抑制による抗老化作用

カルボニル化抑制による抗老化作用に関しては、まず前提知識として真皮におけるカルボニル化のメカニズムについて解説します。

以下の真皮タンパク質の変性メカニズムをみてもらうとわかりやすいと思うのですが、

真皮タンパク質の変性メカニズム

皮膚における「酸化」は、活性酸素によって生じる様々な反応を含んでおり、タンパク質のみではなく糖、脂質、核酸などが関与した多様な反応を含み定義されますが、狭義でのタンパク質の酸化は、糖、脂質、核酸などが関与しない活性酸素によるタンパク質の直接的な酸化反応を意味します。

また、糖が結合しタンパク質が変性する修飾反応は「糖化」と呼ばれ、糖化によって変性したタンパク質は、AGEsという糖化最終産物を産生することが知られています。

一方で、脂質が活性酸素と反応するとアルデヒドが生じ、これらの脂質の過酸化および分解で生じたアルデヒドとタンパク質が反応し、タンパク質が変性する修飾反応は「カルボニル化」と呼ばれます。

カルボニル化によって変性したタンパク質は、ALEsという脂質過酸化最終産物を産生し、皮膚ではシワやたるみのほか、とくに黄ぐすみなどの原因になると考えられています(文献7:2010)

黄ぐすみは、加齢によって主に40代以降に増え始めることが明らかになっています。

2012年に資生堂によって公開されたゲットウ葉抽出物のカルボニル化抑制作用検証によると、試験内容は非公開ですが、in vitro試験においてゲットウ葉抽出物はタンパク質のカルボニル化の抑制が明らかにされており(文献7:2010)、ゲットウ葉エキスにカルボニル化抑制による黄ぐすみ抑制作用(抗老化作用)が認められています。

SCF発現抑制による色素沈着抑制作用

SCF発現抑制による色素沈着抑制作用に関しては、まず前提知識としてメラニン生合成のメカニズムとSCFについて解説します。

以下のメラニン生合成のメカニズム図をてみもらうとわかりやすいと思うのですが、

紫外線におけるメラニン生合成までのプロセス

紫外線を浴びるとまず最初に活性酸素が発生し、様々な情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)をメラノサイトで発現するレセプター(受容体)に届けることで、メラノサイト内でメラニンの生合成がはじまり、ユウメラニン(黒化メラニン)へと合成されます。

SCFは肝細胞増殖因子であり、メラニン生合成のメカニズムでは情報伝達物質(メラノサイト活性化因子)のひとつとして知られており、メラノサイトに存在するSCFの受容体であるc-kitレセプターに輸送され結合されることにより、肥満細胞が遊走、分化・増殖し、アトピー性皮膚炎が引き起こされたり、メラニン合成が活性化することが明らかになっています(文献10:1996)

2008年に丸善製薬によって公開された天然物における肝細胞増殖因子であるSCF発現上昇抑制作用検証によると、試験内容は非公開ですが、ゲットウ葉エキスにSCF発現抑制による色素沈着抑制作用が認められています(文献5:2008)

ただし、試験内容が非公開であり、試験濃度や抑制率などが不明であるため、かなり穏やかな作用傾向である可能性も考えられます。

グルタチオン産生促進による抗酸化作用

グルタチオン産生促進による抗酸化作用に関しては、まず前提知識として体内で発生する活性酸素のひとつである過酸化水素(H₂O₂)およびグルタチオンについて解説します。

過酸化水素(H₂O₂)は、体内で発生する代表的な活性酸素のひとつで、具体的には以下のように、

酸素(O₂) → スーパーオキシド(O₂⁻) → 過酸化水素(H₂O₂) → ヒドロキシラジカル(OH)

活性酸素がより強力になっていく過程で発生します。

生体は、酸素と反応(電子を取り込む)して、まず活性酸素のスーパーオキシドを発生させ、発生したスーパーオキシドは活性酸素分解酵素であるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)によって水に分解されますが、その過程で活性酸素である過酸化水素が発生します。

発生した過酸化水素は、過酸化水素分解酵素であるカタラーゼによって、また抗酸化物質であるグルタチオンを用いてグルタチオンペルオキシターゼによって水に分解されますが、それでも処理できない場合は、より強力な活性酸素であるヒドロオキシラジカルを発生させます。

グルタチオンは、グルタチオンペルオキシターゼを介して過酸化水素を還元する抗酸化物質です。

2010年にコーセーによって公開されたゲットウ葉エキスのグルタチオン産生促進検証によると、

生体内の生理機能を向上させるために、種々の物質を生体内に投与する試みはこれまでにもなされてきたが、この方法は一時的な効果しか期待できず、根本的な解決にいたらない現実がある。

そこで、生体内のグルタチオン産生を促進させ、生体内の生理機能を持続的に向上させるための有効物質の探索をおこなったところ、ゲットウ葉抽出物に着目した。

正常ヒト新生児線維芽細胞を培養した培地に1%ゲットウ葉抽出物を添加して1週間培養し、比較対象として無添加の培地を使用し、細胞数を一定に調整して、グルタチオン量を測定したところ、以下のグラフのように、

 ゲットウ葉抽出物のグルタチオン産生促進作用

無添加の培地と比較して1%ゲットウ葉抽出物の添加した場合、グルタチオン産生量が有意に増加したことが認められた。

この結果からゲットウ葉抽出物は細胞に直接はたらき、細胞内のグルタチオン産生を促進させることがわかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献6:2010)、ゲットウ葉エキスにグルタチオン産生促進による抗酸化作用が認められています。

スポンサーリンク

ゲットウ葉エキスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ゲットウ葉エキスの現時点での安全性は、重大な皮膚刺激およびアレルギーの報告はなく、10年以上の使用実績があるため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ゲットウ葉エキス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ゲットウ葉エキスは毒性なし(∗1)となっており、安全性に問題ない成分であると考えられます。

∗1 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ゲットウ葉エキスは抗老化成分、エモリエント成分、美白成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗老化成分 エモリエント成分 美白成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 丸善製薬株式会社(-)「月桃」技術資料.
  2. 鈴木 洋(2011)「月桃(げっとう)」カラー版健康食品・サプリメントの事典,62.
  3. ジャパンハーブソサエティー(2018)「ゲットウ」ハーブのすべてがわかる事典,77.
  4. 朝田 康夫(2002)「真皮の構造は」美容皮膚科学事典,30-31.
  5. 土肥 圭子(2008)「幹細胞増殖因子発現上昇抑制剤」特開2008-273875.
  6. 森山 正大, 他(2010)「グルタチオン産生促進剤、並びに該グルタチオン産生促進剤を用いた皮膚外用剤及び化粧料」特開2010-195747.
  7. “資生堂株式会社”(2010)「肌の黄ぐすみの新メカニズムを解明」, <https://www.shiseidogroup.jp/newsimg/archive/00000000001187/1187_y7i15_jp.pdf> 2018年9月28日アクセス.
  8. 周 艶陽, 他(2003)「ヒアルロン酸産生促進剤」特開2003-055244.
  9. 朝田 康夫(2002)「真皮の変性と加齢の関係は」美容皮膚科学事典,132-133.
  10. N W Lukacs,et al(1996)「Stem cell factor (c-kit ligand) influences eosinophil recruitment and histamine levels in allergic airway inflammation.」The Journal of Immunology(156)(10),3945-3951.

スポンサーリンク

TOPへ