アルガニアスピノサ核油(アルガンオイル)とは…成分効果と毒性を解説

保湿成分 抗酸化成分 抗老化成分 紫外線吸収剤
アルガニアスピノサ核油
[化粧品成分表示名称]
・アルガニアスピノサ核油

[慣用名]
・アルガンオイル

主にモロッコの一部の地域に生育している広葉樹アルガンの種子から抽出される油です。

一般にはアルガンオイルの名前で広まっていますが、成分に表示される名称はアルガニアスピノサ核油となります。

アルガンの木はモロッコ南西の乾燥地帯に自生し、数年間1滴も雨が降らなくても枯れないという強靭な生命力があるといい、根は地表から100m下の水分を探し出し、葉は空気中の水分を吸収することができます(以下アルガンの木参照)。

アルガンの木

アルガンツリーは、最大で高さ10mにもなり、地域住民によってはまさに宝物であり、経済的にも重要な役割を果たしています(∗1)

∗1 油だけでなく、木は木工や暖房に利用され、葉は飼葉として役立ち、搾りかすは動物のえさに使われています。

実を割ると内側にはアーモンドに似た種子があり、収穫した100kgの果実採油されるのはわずか1~2リットルだけになります。

植物オイルハンドブックによると、アルガニアスピノサ核油の脂肪酸組成は、

  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):43%
  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):37%
  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):12~13%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):6%

となっており、ヨウ素価は103となっています。

参考:ヨウ素価の解説と植物油脂のヨウ素価一覧

主成分は、オレイン酸やリノール酸で、ほかにセサミン、セサモールなどのゴマリグナンを含みます。

また、植物ステロールの一種であるショッテノールが含まれているので、皮膚の修復作用や再生作用があり、火傷や皮膚疾患に有用です。

約80%の不飽和脂肪酸とともに、ビタミンEもオリーブオイルの約3倍と言われる700mg/kgを含んでいることから”若返りのオイル”とも呼ばれています。

ビタミンE含有量比較

ビタミンEは正式にはトコフェロールと呼びますが、トコフェロールは肌の抗酸化力に優れており、肌荒れや乾燥肌を改善する作用や血色をよくしてくすみを改善する作用など総合的な抗老化作用が確認されているため、実質的にアルガニアスピノサ核油の抗酸化力は天然のトコフェロールの作用といえます。

参考:トコフェロールの成分効果と毒性の解説

天然のトコフェロールは、アルファ(100)・ベータ(10~50)・ガンマ(10)・デルタ(1)の4つのランク(∗1)に分かれており、アルガニアスピノサ核油のトコフェロールの組成は以下のようになります。

∗1 ()内の数字は活性度を表しており、効果の強さと理解しておいてください。

総トコフェロール:51.4mg/100g
   ├ α-トコフェロール:4.1mg/100g
   ├ β-トコフェロール:0.1mg/100g
   ├ γ-トコフェロール:44.2mg/100g
   ├ δ-トコフェロール:3.1mg/100g

化粧品に配合したり、保湿オイルとしてそのまま使用する場合は、

  • トコフェロールの抗酸化作用によって活性酸素除去や過酸化脂質の発生を防ぐ
  • 肌のバリア機能をサポートし、保水機能を上げる
  • 血行を促進して肌荒れやくすみを防ぎ、老化防止につなげる
  • ターンオーバーを促進し肌の新陳代謝を良くする
  • 皮膚の傷跡を修復する
  • 紫外線を吸収する(酸化しにくいオイルで油焼けしないため日中の使用もOK)

これらの効果があるとされています。

2011年の海外の調査報告によると、アルガニアスピノサ核油の配合製品タイプや配合量は以下のような結果になっています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

アルガニアスピノザ核油の配合状況調査結果(2011年)

配合製品数は2011年時点では多いとはいえず、リーブオン製品の皮膚接触が主な使用状況なのがわかります。

2017年の国内の使用状況は2,000以上の製品に配合されているので、2011年以降に飛躍的に普及されているといえそうです。

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アルガニアスピノサ核油の安全性(刺激性・アレルギー)について

アルガニアスピノサ核油の現時点での安全性は、毒性や刺激性はほとんどなく、眼刺激性の詳細は不明なものの、国内でアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性に優れたオイルであると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 108人の被検者に5%アルガニアスピノサ核油を含むフェイスセラムを単一パッチ適用したところ(詳細不明)、一時皮膚刺激は起こらなかった
  • [ヒト試験] 108人の被検者に5%アルガニアスピノサ核油を含むフェイスセラムを反復閉塞パッチ適用したところ(詳細不明)、皮膚刺激および皮膚感作は起こらなかった
  • [ヒト試験] 209人の被検者に10%アルガニアスピノサ核油を含む軟膏を反復閉塞パッチ適用したところ(詳細不明)、皮膚感作は起こらなかった
  • [ヒト試験] 51人の被検者に10%アルガニアスピノサ核油を含む軟膏を唇、手、爪、肘、膝、足、かかと、に4週間適用したところ、2人の被検者は唇にレベル1(最小の紅斑)を有し、5人の被検者は唇または肘にレベル1の紅斑を有したが、この製剤は有意な皮膚刺激または乾燥を誘発しなかった

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性や毒性の懸念はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

眼刺激性に関しては試験データや安全性データがみあたらないため、眼刺激性の詳細は不明です。

アレルギー(皮膚感作性)について

アレルギーの試験結果はみあたりませんが、国内で2,000以上の製品に配合されながら重大なアレルギーの報告がないため、現時点ではアレルギー(皮膚感作)はほとんど起こらないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アルガニアスピノサ核油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アルガニアスピノサ核油は毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アルガニアスピノサ核油は抗シワ(抗老化)成分と保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗シワ(抗老化)成分 保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Final Report Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」, <http://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR577.pdf> 2017年10月15日アクセス.

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