アセチルグルコサミンとは…成分効果と毒性を解説

抗老化成分
アセチルグルコサミン
[化粧品成分表示名称]
・アセチルグルコサミン

[医薬部外品表示名称]
・N-アセチルグルコサミン

エビやカニなど甲殻類の外殻成分であるキチンの構成成分であり、化学的にグルコースの2位の水酸基(ヒドロキシル基)をアセチルアミノ基(アセトアミド基)に置換した構造をもつ水溶性のアミノ糖です(∗1)

∗1 グルコースの2位の炭素についている水酸基をアミノ基に置換するとグルコサミンとなり、グルコサミンの2位のアミノ基をアセチル化するとアセチルグルコサミン(単糖類)となります。

皮膚の真皮層は以下の皮膚構造図のように、

皮膚の構造と皮膚の主要成分図

ヒアルロン酸・コラーゲン・エラスチンで構成された細胞外マトリックスを形成し、水分保持と同時に皮膚のハリ・弾力性に深く関与しており、ヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が直鎖状に連なった分子量数百万の高分子化合物ですが、アセチルグルコサミン自体は分子量221.21の低分子であり、ヒアルロン酸構成物質として生体内に存在しています(文献1:1995)

皮膚浸透性・透過性に関しては、2006年に焼津水産化学工業によって報告されたヒト三次元培養皮膚モデルを用いたアセチルグルコサミンの経皮吸収性検証によると、

ヒト三次元培養皮膚モデルの上層に0.1%アセチルグルコサミンおよび0.1%ヒアルロン酸200μLを入れて、37℃で培養し、1,2,4,6,8および24時間後に下層をサンプリングしていき、アセチルグルコサミンおよびヒアルロン酸の透過量を測定したところ、以下のグラフのように、

ヒト三次元培養皮膚モデルにおけるアセチルグルコサミンとヒアルロン酸の透過性の違い

高分子であるヒアルロン酸はほとんど透過量が変化しなかったのに対し、アセチルグルコサミンは8時間まで著しく速く、また直線的に透過量が増加することが確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:2006)、アセチルグルコサミンは有意に経皮に吸収されることが確認されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ハンド&ボディケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、洗顔料、などに使用されています。

ヒアルロン酸およびⅠ型コラーゲン産生促進による抗老化作用

ヒアルロン酸およびⅠ型コラーゲン産生促進による抗老化作用に関しては、まず前提知識としてヒアルロン酸およびⅠ型コラーゲンを解説します。

以下の皮膚の構造図をみてもらうとわかるように、

皮膚の構造と皮膚の主要成分図

皮膚は大きく表皮と真皮に分かれており、表皮は主に紫外線や細菌・アレルゲン・ウィルスなどの外的刺激から皮膚を守る働きと水分を保持する働きを担っており、真皮はヒアルロン酸・コラーゲン・エラスチンで構成された細胞外マトリックスを形成し、水分保持と同時に皮膚のハリ・弾力性に深く関与しています。

ヒアルロン酸は、真皮の中で広く分布するゲル状の高分子多糖体として知られており、規則的に配列したコラーゲンとエラスチンの繊維間を充たし、水分を大量に保持することで、皮膚に弾力性と柔軟性を与えています(文献3:2002)

コラーゲンに関しては、まず以下の肌図をみてほしいのですが、

真皮におけるコラーゲンの種類

  • Ⅰ型コラーゲン:真皮内に網目状に張りめぐらされている強硬なコラーゲン。肌の弾力やハリを保持
  • Ⅲ型コラーゲン:真皮の乳頭層に多く含まれる細くて柔らかいコラーゲン。肌に柔らかさを付与
  • Ⅳ型コラーゲン:基底膜の膜状構造を維持するための骨格の役割をするコラーゲン

このように、皮膚のコラーゲンは表皮の基底層(基底膜)から真皮にかけて、それぞれ異なった役割をもつコラーゲンが存在しており、大部分は網の目を形成するⅠ型コラーゲンになり、またⅣ型コラーゲンは表皮を支え、基底膜を正常に機能させる土台として働きます。

Ⅰ型コラーゲンは、細胞外マトリックスの主成分であり、膠質状の性質を持つ白い紐状のタンパク質からなる丈夫な太い繊維で、内部にたっぷりと水分を抱えながら皮膚のハリを支えています(文献4:2002)

このような背景から、ヒアルロン酸およびⅠ型コラーゲンの産生を促進することは皮膚の抗老化という点で重要であると考えられます。

2006年に焼津水産化学工業によって報告されたアセチルグルコサミンのヒアルロン酸およびコラーゲンへの影響検証によると、

培養ヒト皮膚由来正常線維芽細胞に各濃度のアセチルグルコサミンを添加し、48時間培養後ヒアルロン酸量およびⅠ型プロコラーゲン量を測定したところ、以下のグラフのように、

真皮線維芽細胞のヒアルロン酸およびⅠ型プロコラーゲン産生量に与えるアセチルグルコサミンの影響

アセチルグルコサミンの添加により、濃度依存的にヒアルロン酸量は増加を示し、32mMまではⅠ型プロコラーゲンの濃度依存的に増加を示した。

また、細胞増殖には有意な影響はみられなかった。

このような検証結果が明らかにされており(文献2:2006)、アセチルグルコサミンにヒアルロン酸およびⅠ型コラーゲン産生促進による抗老化作用が認められています。

表皮ヒアルロン酸産生促進による抗老化作用

表皮ヒアルロン酸産生促進による抗老化作用に関しては、まず前提知識として表皮におけるヒアルロン酸の機能について解説します。

ヒアルロン酸は、ここまで解説してきたように、真皮において規則的に配列したコラーゲンとエラスチンの繊維間を充たし、水分を大量に保持することで、皮膚に弾力性と柔軟性を与えるゲル状の高分子多糖体として知られています。

一方で、ヒアルロン酸は表皮層や角層においても密接に隣接した細胞間に網目状に高濃度で存在することが確認されており、表皮細胞間において増殖・分化・移動・接着といった基本的な細胞機能と密接な関係があり、下層細胞間の細胞外空間維持、上層の細胞への栄養供給、老廃物の排出促進などの機能が明らかになっています(文献6:2013;文献7:2009)

このような背景から、加齢にともなう表皮ヒアルロン酸の減少は皮膚機能の低下に関与すると考えられており(文献6:2013)、表皮ヒアルロン酸の産生を促進することは抗老化において重要であると考えられます。

2011年にニッスイによって報告されたアセチルグルコサミンの皮膚への影響検証によると、

正常ヒト表皮角化細胞を各濃度(1,3および10mM)のグルコースまたはアセチルグルコサミンを含む培地を用いて48時間培養後に培地中のヒアルロン酸量を測定したところ、以下のグラフのように、

正常ヒト角化細胞におけるアセチルグルコサミンのヒアルロン酸産生量への影響

グルコースを用いた培地は、ヒアルロン酸量が変わらないのに対し、アセチルグルコサミンを用いた培地では、濃度依存的にヒアルロン酸産生量が増加する傾向がみられ、3mM以上についてはグルコースより高い産生量が確認された。

このような検証結果が明らかにされており(文献5:2011)、アセチルグルコサミンに表皮ヒアルロン酸産生促進による抗老化作用が認められています。

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アセチルグルコサミンの安全性(刺激性・アレルギー)について

アセチルグルコサミンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 生体内に存在する成分
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

ただし、アセチルグルコサミンは、甲殻類の外殻に含まれるキチンから生成されることも多く、甲殻類にアレルギーを有している場合は販売元への確認を推奨します。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

生体内に存在する成分であり、食品にも応用されていることから、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

化粧品原料におけるアセチルグルコサミンは、甲殻類の外殻に含まれるキチンから生成する製造法と化学合成によって製造する方法がありますが、媒体情報では詳細が不明であるため、甲殻類にアレルギーを有している場合は販売元への確認を推奨します。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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アセチルグルコサミンは抗老化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗老化成分

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文献一覧:

  1. 後藤 真(1995)「ヒアルロン酸の生理的役割と疾患」炎症(15)(2),105-113.
  2. 久保村 大樹, 他(2006)「N-アセチルグルコサミンの美肌効果」Fragrance Journal(34)(6),78-81.
  3. 朝田 康夫(2002)「真皮の変性と加齢の関係は」美容皮膚科学事典,132-133.
  4. 朝田 康夫(2002)「真皮の構造は」美容皮膚科学事典,30.
  5. 山之内 智(2011)「N-アセチルグルコサミン(天然由来)の特徴と皮膚への効果」Fragrance Journal(39)(8),59-61.
  6. 佐用 哲也(2013)「表皮ヒアルロン酸合成制御機構の解明」東京薬科大学(323).
  7. 井上 紳太郎(2009)「皮膚ヒアルロン酸の不思議」グルコサミン研究(5),4-10.

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