アスタキサンチンとは…成分効果と毒性を解説

抗シワ成分 抗酸化成分
アスタキサンチン
[化粧品成分表示名称]
・アスタキサンチン、ヘマトコッカスプルビアリスエキス、ヘマトコッカスプルビアリス油

[医薬部外品表示名称]
・アスタキサンチン、アスタキサンチン液

アスタキサンチンは、ベータカロチンと同じ構造をもつカロテノイドの一種でエビやカニなどの甲殻類や鮭やいくらなどに存在するカロチノイド系色素(赤い色素)です。

現在の化粧品におけるアスタキサンチンは、エビやカニなどの甲殻類は使用されておらず、オキアミまたはアスタキサンチンを多く含むことで海のカロテノイドとも呼ばれているヘマトコッカスという藻類が主流となっています。

ヘマトコッカス由来の場合、成分表示名称にアスタキサンチンのほかにヘマトコッカスプルビアリス油、ヘマトコッカスプルビアリスエキスと表示されていることも多いです。

カロテノイドの中でも1-2を争う強力な抗酸化力をもち、活性酸素の中でもシワの生成に深く関わる一重項酸素を消去する働きや脂質過酸化の抑制を活性化する効果も認められており、最近になって注目され始めた抗酸化物質のひとつです。

2007年9月の富士フィルムの研究で、アスタキサンチンの一重項酸素消去作用はコエンザイムQ10の約1,000倍あることが実証されています(文献1:2007)

アスタキサンチンの一重項酸素に対する抗酸化力

上で伝えたアスタキサンチンの作用に脂質過酸化の抑制というものがありますが、これは細胞膜の酸化を防ぐことで結果的に細胞を酸化から守れる作用のことで、

細胞膜の酸化を防げるので、結果的に細胞の中の酸化も防止できる

脂質過酸化抑制に関してはビタミンEの約1,000倍あることが実証されており、リコピンやβカロテンなどの抗酸化成分は細胞膜の酸化に対して効果をもたないため、この作用がアスタキサンチンの強力な抗酸化作用の特徴で抗老化作用であるともいえます。

また、アスタキサンチンには抗炎症作用があることもわかっており、以下のラットによる実験結果では、医薬品に迫る炎症抑制効果を示しています。

エンドトキシン誘発ブドウ膜炎の炎症抑制効果

この研究は、ブドウ膜炎を起こしたラットの眼球を満たしている体液の炎症度合いを調べたもので、ブドウ膜炎になったラットは炎症度合いが800という数字になっていますが、アスタキサンチンは炎症度合いを25%程度に抑制している成果がでているのがわかります。

また、アスタキサンチンには、抗酸化・抗炎症効果のほかにも様々な効果が確認されています。

抗酸化作用による活性酸素除去による色素沈着を抑制する作用であったり、メラニン生成抑制作用などの美白効果もありますし、光老化の抑制も証明されています。

光老化の抑制に関しては、マウスによる動物実験において皮膚をUV-B(紫外線B波)にさらしてもシワの形成や皮膚の弾力性の低下が抑制されることが認められており、この成果の要因が肌の弾力に関わるエラスチン繊維とコラーゲン繊維の両方の変性が抑えられていることが判明しています。

こういった作用や効果からアスタキサンチンが化粧品へ配合される場合、抗酸化や光老化(小ジワや肌のハリや弾力の予防や改善)の効果が期待されます。

アスタキサンチンは油溶性で、多くの場合酸化防止にトコフェロール(ビタミンE)がセットで配合されており、また化粧水など水溶性に分散するためにリポソームを形成している場合は、水添レシチンダイズステロールなどがセットで配合されています。

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アスタキサンチンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

アスタキサンチンの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性はデータ不足のため詳細不明ですが、重大な皮膚感作(アレルギー)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

なお、オキアミは甲殻類ではなくオキアミ類であり、甲殻類にアレルギーを有している場合でもオキアミ由来のアスタキサンチンでアレルギーが起こるケースはほとんどないと考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

富士化学工業の「Effects of astaxanthin from Haematococcus pluvialis on human skin」(文献2:2001)によると、

  • [ヒト試験] 45人の被検者の上腕内側に5%ヘマトコッカス由来アスタキサンチン、対照クリーム、アスタキサンチンを含むクリームの3つの試験試料を24時間Finn Chamber適用し、Finn Chamber除去30分および24時間後に試験部位を評価したところ、5%アスタキサンチンにおいて45人のうち42人の被検者は反応を示さなかった。残りの3人のうち2人は24時間後にほとんど知覚できないわずかな反応を示し、残った1人は48時間後にほとんど知覚できないわずかな反応を示した。対照クリームにおいて45人のうち42人の被検者は反応を示さなかった。残りの3人のうち2人は24時間後にほとんど知覚できないわずかな反応を示し、残った1人は48時間後にほとんど知覚できないわずかな反応を示した。アスタキサンチンクリームにおいて45人のうち43人の被検者は反応を示さなかった。残りの2人は24時間および48時間後の両方でほとんど知覚できないわずかな反応を示し、残った1人は48時間後にほとんど知覚できないわずかな反応を示した。3つの試験資料はすべて安全であると判断され、皮膚一次刺激誘発に関する安全性に問題ないと結論付けられた
  • [ヒト試験] 11人の女性被検者を用いてヘマトコッカス由来のアスタキサンチン配合クリーム製剤の累積刺激性を評価するために皮膚反復適用試験を実施した。各被検者は3週間にわたって毎日連続で朝夕に顔を明後日化粧水でケアした後に試験試料0.2gを目の下から頬にかけて薄く広げ、3週間の前後で評価したところ、試験試料によって皮膚状態の悪化を示す被検者はおらず、皮膚一次刺激性試験と同様に皮膚反復適用試験においても安全性に問題ないと結論付けられた

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、皮膚刺激性の報告はないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

眼刺激性に関する試験結果や安全データはみつからず、データ不足のため詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

試験結果や安全データはみつかりませんが、重大なアレルギーの報告はなく、現在はエビやカニなどの甲殻類を使用していないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

オキアミ由来の場合は、エビに似ているために甲殻類だと思いがちですが、エビの仲間ではなくオキアミ類となっており、厚生労働省の「食品衛生法施行規則の一部改正案(アレルギー表示対象品目に「えび」「かに」を追加することについて)に対して寄せられた御意見について」という公開資料(文献3:2008)によると、

問い9:オキアミ類を特定原材料もしくは、特定原材料に準ずるものに含めるべきではないか。

回答:えびの摂取によりアレルギー症状を呈した症例について、オキアミ類を摂取した場合の症状の有無をアンケート調査したところ、アレルギー症状を呈する患者の割合が低かったことから、今回の義務表示の対象としていないところです。

このように回答があり、エビやカニなどの甲殻類にアレルギーを有していてもオキアミではアレルギー症状が起こることはまれだと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
アスタキサンチン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、アスタキサンチンは毒性なし(∗2)となっており、安全性に問題はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

アスタキサンチンは抗シワ(抗老化)成分、抗炎症成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:抗シワ(抗老化)成分 抗炎症成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “富士フィルムヘルスケア未来研究所”(2007)「コエンザイムQ10の約1000倍のパワー!注目の抗酸化成分「アスタキサンチン」の一重項酸素消去能を実証」, <http://info.fujifilm.co.jp/healthcare/news/070911.html> 2018年3月10日アクセス.
  2. Seki,T, Sueki,H, Kouno,H, Suganuma,K, Yamashita,E(2001)「ヘマトコッカス由来アスタキサンチンの皮膚に及ぼす影響―ヒト皮膚刺激性試験・反復塗布試験・目尻シワ取り効果」Fragrance Journal(29)(12),p98-103.
  3. “厚生労働省”(2008)「食品衛生法施行規則の一部改正案(アレルギー表示対象品目に「えび」「かに」を追加することについて)に対して寄せられた御意見について」, <http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495070135&Mode=2> 2018年3月10日アクセス.

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