炭の基本情報・配合目的・安全性

炭

化粧品表示名
医薬部外品表示名 薬用炭
INCI名 Charcoal Powder
配合目的 吸着研磨・スクラブ着色 など

1. 基本情報

1.1. 定義

木材または竹などを加熱することによって得られる乾燥した炭化物です[1a]

1.2. 性状

炭の性状は、

状態 黒色の粉末

このように報告されています[2a]

1.3. 化粧品以外の主な用途

炭の化粧品以外の主な用途としては、

分野 用途
医薬品 安定・安定化、吸着、光沢化、コーティング、着色、賦形目的の医薬品添加剤として経口剤、外用剤などに用いられます[2b]

これらの用途が報告されています。

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 吸着
  • 研磨・スクラブ
  • 黒色の着色

主にこれらの目的で、洗顔料、洗顔パウダー、洗顔石鹸、ボディスクラブ製品、シャンプー製品、クレンジング製品、マスク製品、メイクアップ製品、ボディソープ製品などに使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 吸着

吸着に関しては、炭は多孔質物質(∗1)であるため、その微細な穴(細孔)に汚れを吸着する性能に優れていることから、洗顔料、洗顔石鹸、洗顔パウダー、クレンジング製品、シャンプー製品、ボディソープ製品など洗浄系製品の洗浄助剤として使用されています[3][4]

∗1 多孔質とは、細かい穴(孔)がたくさん空いた構造になっている性質のことです。

2.2. 研磨・スクラブ

研磨・スクラブに関しては、炭は多孔質物質であり、球状にしたものが汚れを吸着するとともに物理的に古い角質を除去する効果に優れることから、炭スクラブ剤としてボディスクラブ製品、洗顔料、ピーリング製品などに使用されています[1b]

2.3. 黒色の着色

黒色の着色に関しては、炭は黒色の炭化物であり、微細な粉末にしたものを溶液に分散させることで着色できるため、自然な黒色の着色目的で使用されています[1c]

3. 配合量範囲

薬用炭は、医薬部外品(薬用化粧品)への配合において配合上限があり、配合範囲は以下になります。

種類 配合量
薬用石けん・シャンプー・リンス等、除毛剤 1.0
育毛剤 配合不可
その他の薬用化粧品、腋臭防止剤、忌避剤 配合不可
薬用口唇類 配合不可
薬用歯みがき類 配合不可
浴用剤 配合不可

また、薬用炭は医薬品成分であり、化粧品に配合する場合は以下の配合範囲内においてのみ使用されます。

種類 最大配合量(g/100g)
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもの 2.0
粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないもの 2.0
粘膜に使用されることがある化粧品 配合不可

4. 安全性評価

炭の現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)

日本薬局方に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

4.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

5. 参考文献

  1. abc日本化粧品工業連合会(2013)「炭」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,581.
  2. ab日本医薬品添加剤協会(2021)「薬用炭」医薬品添加物事典2021,689-690.
  3. 安部 郁夫(1999)「多機能材料:活性炭, 木炭」色材(72)(6),388-396. DOI:10.4011/shikizai1937.72.388.
  4. 宇山 侊男, 他(2020)「炭」化粧品成分ガイド 第7版,220.

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