モンモリロナイトの基本情報・配合目的・安全性

モンモリロナイト

化粧品表示名 モンモリロナイト
INCI名 Montmorillonite
配合目的 吸着増粘 など

1. 基本情報

1.1. 定義

以下の化学式で表される複合ケイ酸アルミニウムマグネシウムであり、粘土鉱物のスメクタイト(∗1)に分類される粘土鉱物です[1a][2a]

∗1 体積の数十倍に水を吸収して膨らむ(膨潤する)機能を有する粘土鉱物のグループをスメクタイトといいます。

モンモリロナイト

1.2. 分布

モンモリロナイトは、ベントナイトの主成分であり[2b]、ベントナイトは自然界において主にアメリカ、ロシア、ギリシャ、イタリア、インド、中国など世界各地で産出され[3a]、日本においては主要な鉱山として山形県大江町の月布鉱山、宮城県川崎町の川崎鉱山、宮城県蔵王町の土浮山鉱山から産するほか、青森県、福島-新潟県堺地域、岡山県、島根県、福岡県などにも分布しています[4]

2. 化粧品としての配合目的

化粧品に配合される場合は、

  • 吸着
  • 親水性増粘

主にこれらの目的で、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、ボディケア製品、ハンドケア製品、スキンケア製品、マスク製品、シャンプー製品、コンディショナー製品、入浴剤など様々な製品に使用されています。

以下は、化粧品として配合される目的に対する根拠です。

2.1. 吸着

吸着に関しては、モンモリロナイトはベントナイトの主成分であり、ベントナイトと同様に優れた吸着性を発揮することから[3b][5]、皮脂や油汚れを吸着する目的で洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、シャンプー製品、マスク製品などに使用されています[1b]

2.2. 親水性増粘

親水性増粘に関しては、モンモリロナイトはスメクタイトに分類される粘土鉱物であり、結晶層間および粒子間に水分子を取り込むことによって水中で大きく膨潤し、高い粘度を示すことから[6]、粘度あるいは製品の乳化安定性を調整する目的でスキンケア製品、ボディケア製品、ハンドケア製品などに使用されています[1c]

3. 配合製品数および配合量範囲

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2022年の調査結果になりますが、以下のように報告されています(∗2)

∗2 以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を指し、またリンスオフ製品は、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

モンモリロナイトの配合製品数と配合量の調査結果(2022年)

4. 安全性評価

モンモリロナイトの現時点での安全性は、

  • 外原規2021規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2021に収載
  • 20年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

4.1. 皮膚刺激性

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ[7]によると、

  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデル(EpiDerm)を用いて、角層表面に38%モンモリロナイトを含む製剤を処理し、OECD439テストガイドラインに基づいて皮膚刺激性を評価したところ、この試験物質は皮膚刺激剤ではなかった(Anonymous,2022)

このように試験データをみるかぎり皮膚刺激なしと報告されており、また20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚刺激の報告がみあたらないため、一般に皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

4.2. 眼刺激性

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細不明です。

4.3. 皮膚感作性(アレルギー性)

医薬部外品原料規格2021に収載されており、20年以上の使用実績がある中で重大な皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

5. 参考文献

  1. abc日本化粧品工業連合会(2013)「モンモリロナイト」日本化粧品成分表示名称事典 第3版,1002.
  2. ab大木 道則, 他(1989)「モンモリロン石」化学大辞典,2377.
  3. ab鬼形 正伸(2007)「ベントナイトの特性とその応用」粘土科学(46)(2),131-138. DOI:10.11362/jcssjnendokagaku1961.46.131.
  4. 高木 哲一(2008)「2007年度秋期講習会「宮城・山形のベントナイト鉱床」」資源地質(58)(1),43-47. DOI:10.11456/shigenchishitsu1992.58.43.
  5. 鈴木 一成(2012)「モンモリロナイト」化粧品成分用語事典2012,542.
  6. 鈴木 啓三(2017)「モンモリロナイトの特性」鋳造工学(89)(2),80-84. DOI:10.11279/jfes.89.80.
  7. C.L. Burnett(2022)「Amended Safety Assessment of Naturally-Sourced Clays as Used in Cosmetics(∗3)」, 2022年10月15日アクセス.
    ∗3 PCPCのアカウントをもっていない場合はCIRをクリックし、表示されたページ中のアルファベットをどれかひとつクリックすれば、あとはアカウントなしでも上記レポートをクリックしてダウンロードが可能になります。

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